FREDY & GLOSTER Official


 

こんにちは。

PRの草壁です。

 

前回のブログでご紹介させていただいたMighty Shine(マイティー シャイン)のハットオーダーフェア。

そんなスタッフもワクワクが抑えきれないオーダーフェアを前に、

デザイナー菊地章仁氏へのスペシャルインタビューが実現!

その全貌を大公開いたします!

 

 

Mighty Shineを象徴する「THE FAT HATTER」通りの豪快なアメリカンルックスとは対照的に、

 

ユーモアと笑顔に溢れた優しい人柄で、一瞬にして菊地氏ワールドに引き込まれてしまいました。

 

そんな個性的な菊地ですが、一体どのようにしてMighty Shineが誕生したのか、

 

その経緯からお話を伺いました。

 

 

 

 

 

まずは菊地氏の経歴から教えていただけますか?
 

菊地氏 : ハットを作り始めたのは文化服飾学院に在学中で、その当時から原宿の路上で自分で作ったハットを売っていました。

その後、20歳の頃に大手帽子メーカーの株式会社 栗原に就職し、3年半働いたのち24歳で独立

栗原では、いろいろな経験をさせていただきました。いわゆる高級ハットからそうでないものまで様々な帽子を作っていました。

取引先の方に、既存で会社が扱っている商品とは別に、勝手に自分でハットを作ってどうですか?なんて提案してみたり、

とりあえず自分が納得できる商品を作りたかったんです。

そんな経験の中で、本当に自分が作りたいものとのギャップを感じ始め、結果的に独立という道を選びました。

 

独立してからもハットやキャップ等の制作をできる範囲で行っていましたが、

ドメスティックブランドの方などからヴィンテージライクのハットの製作依頼なども増えてくるようになりました。

ただ、ハット作りで一番肝心な木型がないと、結局は依頼された形を作り上げることはできず、

できないと何度もお断りしていました。そう言った状況が続いたある日、

できない、できないと言っている自分が嫌になったんです。

そこでそれなら自分たちで型を作れる背景を探そうという事になって。

アメリカやヨーロッパ中のハット工場をひたすら周りましたね。

やっとの思いでフランスに1件木型を作っていただける工場を見つけて、、

 

また、同時進行でハンドメイドのハット製作の研究を進めていたんです。

ヴィンテージハットを日本で作っている職人さんはほとんどいなくて、

ハット製作も独学で研究しながら進めていく感じでした。

 

昔のテーラードの写真に出てくる道具などを頼りに、道具を作ってもらったり、、

ハット製作は道具製作から始まりましたね。

試行錯誤を繰り返して、5年ほど経ってようやく、

納得のいく型や道具、製作方法などが固まってきたんです。

その流れでオリジナルブランドを作ろうということになり、それが今の「Mighty Shine」になりました。


 

 

 

 

「嘘をつかない」

 

菊地氏 : ハットを作る上で、一番大切にしていることです。

ハットも深い部分の話になると、素材はラビットだったりを使わせてもらってハットになる。

こんな感じが流行りだから売れるだろう、といった気持ちでは決して作れません。

ラビットを使わせてもらう以上は、世に何かしらの価値を生み出さないといけない。

このハットを手にした人が豊かな生活を送れたり、

ハットに興味を持ってもらってからファッションやカルチャーに目覚め感性を磨くキッカケになったり、

そうしたことを念頭に置きながらものづくりをしているので、うちのプロダクトはなかなか進みませんね(笑)

 

 

 

 

そういったマインドを持ち合わせながらも、やはりハットの知識は底知れず、

事務所にあるハットの中でも高価な方と軽く話しながら

25万のヴィンテージハットの説明を聞かせていただきましたが、楽しそうにお話をされるその姿は、

まさに「本物」だと実感させられました。

 

 

 

 

菊地氏:ハットのテープの周りにボタンと紐が付いているんですけど、そのボタンの裏は黒じゃなきゃ嫌なんですよね。

ヴィンテージハットが作られていた時代では、黒のボタンしか作る技術がなかったから!

巷のハットを見ると、ゴムひもで作ったりしてるけどね、、、lily yarnのテープが本物なんです。

それが悪いとは言わないけど、うちではこれしか使わない事にしてます。

 

 

 

 

その後も、ハットにつけるフェザーの話題に触れると、「それ、実はね~」と話してくださり、

ハットだけでなくそれにまつわる洋服、シューズ、メガネといったファッションに止まらず、ハットを作るミシンやレジ、

レイアウト什器に至る全てのものにも同様の愛情を注いでるからこそ、

ここまでの世界観が出来上がっていると感じました。

 

 

アンティーク物のレジ。実際のレジの機能は使えず今はお金をしまうためだけのレジだそう。

なので、お客様がお支払いの時は金額が表記されるところをいつも777にしてくれる。

縁起がいいでしょ?といいながらも粋なスタンスがかっこいい。

 

 

 

 

ハットを選ぶ基準みたいなものってありますか?

 

 

とりあえずたくさん被ること。いろんな形や色、年代のものをかぶり倒して

自分に合ったものを選んでいただくようにしてますね。

あとは、スタイルとしての被り方ですね。前髪を出すのか、出さないのか、

少し後ろに下げるのか、キザに斜めに被るのか。

うち(Mighty Shine)には、たくさんの種類のハットが揃っているから、

とても選びやすいと思いますよ(笑)

 

Q:ハットを比べてみると、クラウン(帽子の頭を覆い隠している部分の事)が高いものとそうでないものがありますけど、

この違いで選ぶ基準があったりするんですか?

 

昔の人は、このクラウンの台の高さが富の象徴だったんですよ。高ければ高い方が裕福な人だったわけですね。

となると、クラウンが低いハットを被ってる人たちは、みんな裕福に思われたいとか

そういうハットを被りたいってなりますよね。

そこで昔の人は少し後ろに下げて被っていたんです。クラウンを高く見せるために。

ハットのデティールにはそういった昔の人々の生活の背景が影響していたりする部分も多いですね。

 

例えば、ハットの内側に貼ってあるビニール素材の裏地。これにもちゃんと目的があるんです。

1930年までのヴィンテージハットには付いていなくて、それ以降のハットには付いている。

その時代に人々の生活に変化があったわけですね。

1930年以降の人になると、髪をセットするためにポマードを使い始めたことで、

ハットの裏地がポマードで汚れないようにビニール素材でカバーしていた訳です。

そういった生活スタイルがハットの作りにも影響している。

 

そうなると、やはりファッションでいうと、

50年代のハットには50年代のシャツに、50年代のデニムで合わせるのがしっくりきますね。

そういう選び方も面白いと思いますよ。

 
 

 

「道具はまだ紹介していなかったですね。ちょっと見ていきます?」と快く

工場を案内してくださり、ハット製作には欠かせない道具たちを紹介していただいた。

そこにも一つ一つ、こだわりを持って接している姿勢は「職人」そのものでした。

そんな方が作るハットには、相当なこだわりが詰まっているのだろうと感じ、

ハット製作の見学をお願いしてみると、快く承諾していただけました。

 

 

っということで次回は、、、

 

 

菊地氏のこだわりの道具から実際のハット作りの工程をご紹介いたします。

ぜひ次回のブログもお楽しみに!

 

 

 

クラウンの形を形成するための木型。作ったものから廃業した工場から譲っていただいたものまで。

ここまで揃うにも相当時間がかかったそう。